芦花公園「異端の祝祭」感想(2023/03/06)

凸ノ高秀さんがおすすめしていた、芦花公園「異端の祝祭」を読んだ。

面白かった。

超常の力を持つカルト宗教のボスとの対決。

自らもまた超常の力を有する佐々木るみは、相棒の青山くんと立ち向かう。

人智を超えた存在と異常な人間たちの底知れぬ力が危険を加速させる。

良質なホラー二時間ドラマを見たような感じで純粋に楽しんだ。

 

特によかったところは文章が読みやすかったところ。

読みやすいというのはどういうことかというと、長すぎる文章や難しい言葉がそんなにないことに加えて、キャラクターの感情や経験がきちんと整理されていることだ。

感情の変遷や時系列がきっちり整理されていることが、非日常の物語への没入感をあげてくれた。

佐々木るみの過去、ヤンの過去、青山の過去……。

どれをとっても不自然に思わず、腑に落ちる感じがした。

 

もう一つよかったところは超常に立ち向かう佐々木るみの正しさだ。

最後に佐々木るみが放った言葉、彼女が自分自身に言い聞かせるように言った主張がかなりよかった。ネタバレになるので書かないけど……。

異常な存在を描く物語では対決するサイドの主張が大切になると思う。

それによって作品の全体的な雰囲気が左右される。

どんな人でもろくに向き合いもせず切り捨てることはしない。同じ人間として相対して決断を下す。

そんなカッコよさがあった。

 

あと、佐々木るみさんの風貌や話し方が本当によかったのでファンアートを描いた。

中性的な人物って自分の理想を乗せちゃうよな……と描きながら思った。

 

佐々木るみと青山幸喜ペアもめちゃめちゃ魅力的だった。

ベタベタしすぎない、互いに尊敬の念を向けている、気持ちのいい距離感のコンビだなと思った。

 

よかったです!