2022/11/29
今日は文藝冬号の王谷晶「てづから」を読んだ。
ネタバレありの感想だと思います。ご注意を……。
いや怖い!!!!
主人公は、子供が好きそうなキャラクター商品や手作りの人形が大嫌い。
その嫌いっぷりは、吐き気を催し体調が悪くなるほど。
私たちが住む世界では、お店のポップや看板など、至る所にキャラクターが印刷されている。手作りのマスコットを見かけることも多い。
それら全てが許せないのだ。
主人公にとって、この世は非常に生きづらいものだ。
小説は、主人公が、ある他者と対峙し、加速し、起承転結の転のようなラストで終わる。
ラストが怖かった……。「えっ、なんでこうなったの!?!?」と疑問に思うのだけど、奇妙に整合している気がする。例えて言うと、夢の中の出来事はあり得ないけど全部筋は通っているように感じる、みたいな……。
そこが妙にゾッとする……。
理解できない過程なのに、なぜか帰趨に納得してしまう。
自分が感知できる範疇を超えたところで何かが起こった、のかもしれない。
そこが、怖いと感じた本質かも。(なんも分からん。)
この小説で、主人公は異端だと思う。
なぜなら、小説で描かれる主人公以外の人たちは、キャラクターものの商品を愛好していたり、手作りのマスコットを何気なく置いていたりするからだ。
「てづから」というタイトルはラストの主人公のことを言っていると思う。
主人公が「てづから」の状態になったのは、よかったのか、悪かったのか……。
そもそも、順応したから「てづから」になったのかもよく分からない……。嫌悪感が高次的(?)なものに変化しただけかもしれないし……。
圧倒的なディティールと感情の爆発をギッチリとした綿密な文章でぶつけられました。
ゾクゾクっとする小説だった……。
文藝冬号あんまり読めてないので、「魔女」ってものの理解度が上がればまた違う感想が生まれるかもしれないなーと思いました。
以上です! 面白かった!